浮体式生産システム
PDF計画段階のプロジェクト、発注済みユニット、運転中ユニット、使用可能なユニットについての最新情報を提供する
レポートサンプル
CONTENTS
1. 最近の動向............................................................................................................................................. 4
2. 計画段階にあるプロジェクト............................................................................................... 10
3. 発注済み浮体式生産システム............................................................................................... 52
4. 設置済みシステム.......................................................................................................................... 88
5. 再配備可能な浮体式生産システム.................................................................................. 106
EXIBITS
Exhibit 1. 計画中のプロジェクト水深別内訳................................................... 10
Exhibit 2. 計画中のプロジェクト地域別内訳................................................... 10
Exhibit 3. 計画中のプロジェクト—ヨーロッパ、アジア、アフリカ............................ 11
Exhibit 4. 計画中のプロジェクト—南米・北米.................................................. 12
Exhibit 5. 浮体式生産システム及び貯蔵システムが建造されている地域.............. 53
Exhibit 6. 浮体式生産システム及び貯蔵システムが設置される予定の地域.......... 54
Exhibit 7. 浮体式生産システム及び貯蔵システムが設置されている地域.............. 88
1. 最近の動向
過去1ヶ月間の浮体式生産システム発注情報の要約、浮体式生産システム部門の短期的ビジネス展望のアップデート、近々発注されると考えられる具体的な浮体式生産システム案件のリストを以下に示す。
1. 過去1ヶ月間の発注
オフショア市場に影が差しているが、浮体式生産システムの発注は続いている。過去1ヶ月に投機的に発注されたFLNG 1基がアフリカ沖に設置されることとなり、3隻目のLNG船のFLNGへの改造の協議が開始され、FSRU 1基が発注され、 浮体式貯蔵ユニットに改造されたLNGタンカー1隻がリースされた。
· Gimi FLNG—Golar LNGはFLNG 1基を赤道ギニア沖に設置する取り決めを発表した。本プロジェクト向けに船齢39年の125,000㎥LNG船GimiがKeppelでFLNGに改造されることになっている。改造後Gimiは鉱区Rの水深600〜2000mの海域にあるFortunaフィールドに設置される。Golarとガス田操業主体であるOphirは20年間のトーリング契約を組むことで合意に達している。FLNGは2019年上半期に生産を開始する予定。
· Gandria FLNG—Gimi案件の取り決めと並行し、GolarはKeppelとさらに1隻のLNG船をFLNGに改造する交渉を開始した。Gimiの姉妹船で船齢38年のGandriaが改造プロジェクトに使用される。GandriaはHille並びにGimiと同様のコンフィギュアレーションとトップサイドプラントを備えたものとなる。改造工事はGimiに1年先駆けて2018年に完了することになっている。GandriaはGolarがKeppelで実施する3基目のFLNG改造プロジェクトとなる。投機的に発注されたHille及びGimiと同様にGandriaの改造もフィールド設置契約が確定する前に開始される。Golarがリスクを取ることに吝かでないことは明白である。Hilleはカメルーン沖で、Gimiは赤道ギニア沖で設置されることが決まっている。
· Kaliningrad FSRU—GazpromはHyundai(現代)に再ガス化能力460mmcf/dの170,000㎥FSRUを発注した。本FSRUはロシアの飛び地と呼ばれるKalinigradに設置されることになっている。Hyundaiの契約価格は2億9,500万ドルであり、ユニットが設置されるターミナルを整備するためにさらなる投資が必要である。
· Malta LNG FSU—Bumi Armadaはマルタで貯蔵ユニットとして使用するための125,000㎥LNG船の供給契約を受注した。同船はMarsaxlokk港でLNGを荷揚げ/貯蔵し、隣接する200MWの陸上発電プラントに燃料を供給するために使用される。EPC契約+18年リースの契約額はリース期間全体で3億ドル、一日45,250ドルとされている。全体的なプロジェクトはElectrogasコンソーシアムによりBOOT(建設・所有・運営・移管)ビジネスモデルのもとで実施されている。
2. 短期的展望
現在の市場低迷は一時的なものと考えられる。供給が需要を上回り、金融市場の思惑に煽動されて石油価格が暴落し、業界は投資を控え、新しい設備の発注ペースが突然鈍化したが、これは今までにもあったことであり、これからも繰り返されるであろう。
今回の市場鈍化がこれまでと異なるのは原油価格が暴落すると同時にブラジルのペトロブラスが内部崩壊したことである。浮体式生産部門にとって最悪の状況となったが、状況は一段落した模様である。
我々は1月にブレント原油価格が40ドル台半ばまで下落した際に原油価格は底打ちしたと考えている。原油価格は以来60ドル台後半に回復している。原油価格がこのレベルに落ち着くということではなく、再び下落することもありえる。シェールオイル生産増産により原油価格の上昇にいち早く対処することができることから、原油価格の高騰は抑制されるであろう。
最も可能性の高いシナリオでは、原油価格は今後2、3年間70ドル台をはさんで推移すると考えられる。この価格水準は、特に供給能力余剰の結果開発コストが下がったことから、多くの大水深プロジェクトの開始を支えうるレベルである。
ペトロブラスも最悪の状態を脱したように見える。ペトロブラスはloan acceleration(期限の利益損失約款)の履行を免れ、株価は3月半ばの水準から90%上昇し、コントラクターの入札停止も間もなく解除される見込みである。ペトロブラスは間もなく債券市場に復帰し、3~40億レアル(10~13億ドル)を資金調達する。
ペトロブラスは今後2、3ヶ月以内にFPSO 1基の入札募集を行い、今後18ヶ月間にさらに5基のFPSO入札を募集すると予測される。
全体的には、浮体式生産システム市場は今後も活発であり、今後の発注の短期的展望は明るい。
3.近い将来発注が見込まれるプロジェクト
2016年末までに浮体式生産ユニットの契約発注が見込まれるプロジェクトが30件存在する。内訳はFPSO 18基、生産セミサブ2基、LNG液化ユニット及び再ガス化ユニット5基、FSO 5基である。
以下にこれらの近い将来発注が見込まれるプロジェクトの概要を示す。
FPSO
· Bonga Southwest—Shellはナイジェリアの120億ドルのBonga SWプロジェクトを進める公算が高い。同プロジェクトは石油225,000b/d、天然ガス270mmcf/dの生産能力を有するVLCC型のFPSOを必要とする。Hyundai/NigerdocとSamsung/LadolがFPSO契約に入札している。サプライヤーに値引き圧力をかける目的で最終投資決定(FID)は繰り延べになっている。
· Chissonga—Maerskはアンゴラ沖でウェルヘッドTLPと併用するための15,000b/dの処理能力を有するFPSOの調達を計画している。Hyundai/FloaTec、Daewoo/Technip、及びSamsungがウェルヘッドTLPのEPC契約の獲得を図っており、SBM、Modec、そしてTeekayがFPSOのEPC/リース契約の獲得を図っている。サプライヤーに値下げの圧力がかかっている。
· Kudu—NamPower/Namcorはナミビア沖のガス田でコンデンセートを抽出/貯蔵/積出しするために使用するFPSOを探している。ユニットはガス処理能力125mmcf/d+コンデンセート抽出/貯蔵能力を有するものとなる。
· Etan/Zabazaba—ENIはナイジェリア沖のOPL245で使用するために120,000boe/dの処理能力を有するFPSO 1基(もしくは2基)のリースを計画している。再配備可能となっているAzuriteとSchiehallion油田に設置されていたFPSOが本プロジェクトの候補に上がっている。
· Carcara—ペトロブラスは150,000+b/dの生産能力を有するVLCC型FPSOをブラジル沖BM-S-8鉱区向けに発注することを計画している。FPSO入札は暫定的に2015年第3四半期に予定されている。この予定は年央にペトロブラスの財政問題とサプライヤー制限が少なくとも部分的に解決することを前提としたものである。
· Jupiter EWT—ペトロブラスはブラジル沖のBM-S-24鉱区の長期生産試験(EWT)用に石油生産能力50,000b/d、ガス処理能力最大210mmcf/dのスエズマックス型FPSOをリースする見込みである。入札引合(ITT)は2016年の見込み。ただし年央にペトロブラスが多かれ少なかれ正常化していることが前提。
· Libra Pilot—ペトロブラスはLibra油・ガス田群で試験生産ユニットとして使用する石油生産能力150,000b/d、天然ガス処理能力420mmcf/dのVLCC型FPSOをリースする計画である。2015年6月または7月にEPC契約+20年リースの入札引合(ITT)が出され、年内に発注が見込まれる。ただし、ペトロブラスの正常化が前提である。
· その他のペトロブラスプロジェクト—ペトロブラスが直面している財政問題と契約問題が解決する時期に左右されるが、ブラジル沖、Maromba、Parque dos Doces、Sur Parque Baleiasを含む2〜3件のプロジェクトでFPSOの発注が考えられる。
· Atlanta—QGEPはサントス堆積盆のBS-4鉱区のAtlanta及びOliva重質油油田における生産用に処理能力80,000b/dのFPSOの長期リースを計画している。
· Vette—Premierはノルウェー北海で使用する石油生産能力30〜60,000b/dのFPSOリースを計画している。Teekayが本プロジェクト向けにシリンダー型FPSOを提供することになっている模様。Premierは2015年内にも最終投資決定(FID)が行われる可能性を示唆している。2019年の生産開始が目標。
· Penguins—ShellはFPSOをリースし、Penguins油田で独立設備として使用するかもしれない。Penguins油田は現在Brent Cプラットフォームのタイバックとして生産されているが、同プラットフォームは退役することになっている。EPC契約発注を2016年として2015年にFEEDが開始される可能性がある。
· Leviathan—Nobleは1.6bcf/dのガス処理能力とコンデンセート貯蔵能力を有するFPSOをリースし、イスラエル沖のLeviathanガス田群の初期開発に使用することを計画している。ガスはイスラエルとその周辺地域にパイプラインで輸送される。しかし、最終投資決定(FID)のタイミングはイスラエル政府との法的問題の解決に左右されることから、長引く可能性もある。
· Pemex EWT—Pemexは15,000b/dの処理能力のDPII搭載FPSOをリースし、メキシコサイドのメキシコ湾における初期坑井試験/初期生産に使用しようとしている。Munin FPSOの10年リースの大筋の条件をBluewaterと交渉中である。しかし、Pemexは探鉱権協定(farm in)パートナーが見つかるまで発注を先送りするかもしれない。
· E6 Blk SK 308—ShellはSarawak沖のSK 308ガス田で石油とコンデンセートを抽出し、積み出すために石油処理能力30,000b/d、ガス生産能力60mmcf/dのFPSOを探している。アフラマックス型ユニットが6年+延長オプション4年のリース向けに必要とされている。
· Madura MDA/MBH—CNOOC/Huskyはインドネシア沖のMDA/MBHガス田で生産されたガスを脱水/圧縮するための175mmcf/dガス処理能力を有するFPSOのリースを計画している。リース期間は10年間の予定。COOECがFEED契約を受注している。
· Co Rong Do—Talismanはベトナム沖の鉱区135/136で発見された石油/ガス田の生産にFPSO+Wellhead TLPを使用する計画である。FPSOとTWLPの発注は2015年第3四半期に予定されている。FPSOは石油生産能力30,000b/d、天然ガス処理能力60mmcf/d、貯蔵能力500,000バレルとなる。
生産セミサブ
· Appomattox—Shellはメキシコ湾中央区域のNorphletプレイ上で新たに発見された3つの貯留層の開発に150,000boe/dの生産セミサブを発注する計画である。SamsungとKiewitが船体及びトップサイド契約を受注する見込みである。
· Mad Dog 2—BPはメキシコ湾に設置されたMad Dogスパーの近郊で発見された石油貯留層の開発に140,000b/dの石油生産能力を有する生産セミサブを投入する計画である。KBRがFEED契約を受注している。2015年4月末にBPは市況により開発コストが低下したと述べ、2015年末には最終投資決定(FID)に達する可能性があると示唆した。
LNG液化/再ガス化ユニット
· Mamba/Coral Area 4—ENIはモザンビーク沖で発見されたMamba及びCoralガス田からLNG輸出を行うために2.5~3.0mtpaの生産能力を有するFLNG の発注に踏み切る見込みである。2015年末にEPCIC契約者が選出される公算が高い。
· Digha Regasターミナル—H EnergyはWest Bengalで使用するために8mtpaのLNG再ガス化能力を有するFSRUの発注を計画している。
· Ghana Regasターミナル—ガーナにLNGを輸入するためのFSRUのリースに関して複数のデベロッパーがGNPCと交渉中である。停電が頻繁に発生していることから、ガス輸入により電力不足を解消するよう政府に圧力がかかっている。
· Hawaii Regasターミナル—ハワイガスはオアフ島沖にLNG輸入ターミナルとして設置するためにFSRUをリースすることを計画している。
· Walvis Bay Regasターミナル—NamPowerはWalvis湾に新設される250MW発電プラントにガスを供給するためにFSRUをリースする計画である。Excelerateが本プロジェクトに再ガス化ユニットの1隻を供給することになっている模様。
FSO
· Bentley—XciteはTeekayと北海のBentley油田にブリッジ連結シリンダー型FSOを供給するEPC契約のMOUを交わしており、成約に進む可能性がある。原油価格の下落と資金調達の関係で成約が先延ばしとなっている。
· Culzean—Maersk Oilは英領北海に計画しているガスプラットフォームコンプレックスからのコンデンセート貯蔵にFSOのリースを決定するかもしれない。ModecとTeekayがFSO契約獲得を図っている。
· Bressay—Maerskは英領北海に計画しているガスプラットフォームコンプレックスからのコンデンセート貯蔵にFSOをリースすることを計画している。Modec とTeekayがFSOのEPC契約受注を狙っている 。サプライヤー決定は2015年半ばの見込み。しかしMaerskはコントラクターに値下げの圧力をかけており、プロジェクトの投資決定のタイミングに影響するかもしれない。
· Ubon—Chevronはタイ湾のUbonガス/コンデンセート田群でコンデンセートを貯蔵するために650~750,000バレルの貯蔵能力を有する新造FSOの発注を計画している。DSME、Samsung、IHIがFSO契約獲得を図っている。FSO契約の発注は2015年第2四半期の見込み。
· Bangka Strait—ConocoPhillipsはインドネシアで使用するために800,000バレルの貯蔵能力を有するFSOを探している。設置は2015年末の予定。
これらのすべてが2015年及び2016年の浮体式システム発注につながるわけではない。2017年以降に先送りされるものもあれば、立ち消えとなるものもあるだろう。しかし、我々はこれらのプロジェクトの大半は来年末までに浮体式システム契約として実現すると見ている。
計画段階にある浮体式システムプロジェクトのさらなる情報は次のセクションに示す。全ての情報はWERデータベースで毎日アップデートされる。
2.計画段階にあるプロジェクト
5月半ば現在、様々な計画段階にある浮体式生産プロジェクトは238件存在した。うち61%がFPSO、10%がその他の種類の浮体式石油/ガス生産システム、21%が浮体式LNG液化又は再ガス化システム、8%が浮体式貯蔵/積出しユニットである。
水深及び地域別の内訳を以下に示す。
3. 発注済み浮体式生産システム
5月半ばに63基の浮体式生産システムと9基の貯蔵/積出しユニットが発注済みであった。発注済みの浮体式生産システムのうち56%がFPSO、14%がその他のタイプの石油/ガス生産ユニット、30%がLNG液化/再ガス化ユニットであった。
Exhibit 5に浮体式生産/貯蔵システムが建造されている地域を示す。データベースサービス購読者はリアルタイムでこのマップを自動生成することができる。また、それぞれの生産システムごとにマップを作成することができる。Exhibit 6は発注済みのユニットの設置場所を示したものである。
4. 設置済みシステム
5月半ば現在262基の石油/ガス浮体式生産システムが設置されている。設置済みシステムのうち64%がFPSO、15%が生産セミサブ、10%がTLP、8%が生産スパー、3%が生産バージであった。さらに15基のLNG再ガス化ユニットと95基のFSOが稼働中である。FLNGはまだ稼働していない。
5. 再配備可能な浮体式生産システム
5月半ばに18基の石油/ガス生産ユニットが現在フィールドを離れて再配備に向けて待機中である。内訳はFPSOが72%、生産セミサブが残りの28%を占める。
さらに再ガス化装置搭載LNG船が現在通常のLNGタンカーとして運用されている。これらのユニットはFSRUターミナルに改造可能である。これらの再ガス化装置搭載LNG 船のうち1隻(GDF Suez Neptune)は2016年末までウルグアイで短期的に臨時のFSRUとして使用されることになっている。また、タレット搭載FSO(Queensway)がフィールドを離れており、再配備可能である。